流産は、全妊娠の約15%の割合で起こっています。そして流産全体の8割は12週目までの妊娠初期の段階で起こります。確率的には割と多い割合ですが、それでもたいていの人は流産をすることなく、出産にいたるでしょう。
ですから、過剰に不安になる必要も、心配する必要もありません。不安な気持ちや心配をしすぎることで、血管が収縮し、母体の血流が悪くなります。
赤ちゃんに十分に酸素や栄養を送ることができるようにするために、できるだけゆったりとした気持ちで過ごすことがベストです。
しかし、もし次のような症状が現れた場合、それは流産の兆候かもしれません。
流産の5つの兆候
1.不正出血
少量の茶色やピンク色のおりもののような出血や、多量の鮮血の場合もあります。
茶色やピンク色の出血の場合は、体内で出血した血がある程度時間が過ぎてから出てきたものです。鮮血の場合は体内で出血した血が時間をおかず、体外に出てきているということです。
一般的に、茶色やピンク色の出血よりも、鮮血の出血の方が危険だといわれていますが、必ずしもそうとは限りません。

妊娠初期の頃は、流産とは関係なく出血が起こるケースもいくつかあります。切迫流産については『切迫流産!?突然の大出血。それでも赤ちゃんが無事だった訳』の記事をご覧ください。
もし、出血が起こった時にはそれが流産の兆候の出血なのかを判断するために、病院を受診してください。
2.腹痛や腰痛、お腹の張り
受精卵が着床し、妊娠が成立すると、子宮は赤ちゃんの成長とともに大きくなっていきます。そのため子宮が引っ張られるような痛みや、チクチクとした痛みを感じることもあります。これらの痛みは断続的には起こらず一時的な症状として現れます。
しかし、生理痛のような鈍痛や、締め付けられるような強い痛みが断続的に起こっている場合、流産の兆候の可能性があります。このような痛みは子宮の収縮によって起こる痛みと考えられるためです。

一時的に少し痛む程度の腹痛であれば、すぐに病院を受診する必要はないかもしれませんが、もし強い腹痛や腰痛、お腹の張りが断続的に起こっている場合にはすぐに病院を受診してください。
3.つわりが急に軽くなる
つわりの原因は、実ははっきりとは解明されていないのが現状ですが、考えられる原因のひとつにhcg(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)ホルモンの急激な分泌があります。
受精卵が子宮内膜に着床すると、絨毛という組織が子宮内膜に根を張りめぐらしながら、胎盤を作っていきます。この時、絨毛からはhcgホルモンが分泌されます。
つわりのピークが妊娠8週から10週あたりであるのと、hcgホルモンの分泌量のピークが同じ頃であることからつわりの原因のひとつと考えられているようです。
しかし、流産した場合hcgホルモンを分泌する絨毛が働かなくなるために、hcgホルモンの分泌量が減り、つわりが軽くなるのでは、と言われています。
4.赤ちゃんの成長が遅い
通常、妊娠していた場合、生理予定日が妊娠4週0日で、5週目には超音波で胎嚢が確認でき、6週目には胎嚢も大きくなって赤ちゃんの心拍が確認できます。
生理予定日の誤差もありますが、妊娠数週のわりに胎嚢が小さい、また、妊娠8週あたりを過ぎても赤ちゃんの心拍が確認できない場合、流産となる可能性が高いです。
5.卵黄嚢が大きい
妊娠6週目あたりになると、胎嚢の中に胎児と卵黄嚢が確認できます。卵黄嚢とは、赤ちゃんの栄養袋のようなもので、胎盤が完成するまでの間、赤ちゃんは卵黄嚢から栄養をもらいます。
赤ちゃんが卵黄嚢から栄養をもらうので、通常卵黄嚢はだんだんと小さくなっていきますが、それが超音波画像で大きくみられた場合、赤ちゃんがきちんと栄養をもらっていないということになり、そのまま流産となる可能性が高くなります。

以上、5つの兆候についてお話ししましたが、まったく兆候が出ないまま、突然流産になることもあります。
冒頭にも書いたように、必要以上に心配する必要はありませんが、このように流産の兆候を知っておくことでもしもの時に、病院を受診するべきかなど、判断の材料になればと思います。